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ショットにおける日本画の全体的画面構成

絵画に関するかぎり、日本の映画監督は充分にその影響について意識的であり、方法論的自覚を備えていたようである。たとえば溝口健二は『元禄忠臣蔵』を撮るにあたって、西洋絵画がクローズアップによる一点の凝視と焦点化に重きを置いているのに対して、日本絵画は「全体的画面構成」によるロングショットを基調とし、同じ画面のなかに複数の中心を持ち込んでいると論じた。彼は日本映画は「静かに平凡な日本画の前に立って学ばねばならぬ」と説いた。彼は住吉具慶の『洛中洛外図』に理想の構図を見出し、遠くから事物を俯瞰で見つめることを好んだ。また安藤広重の各所図絵の空間構成に深い関心を抱き、流動的にしてゆるやかな時間の推移と、それにともなう空間の連続的な変化を文体に取り入れた。『雨月物語』における露天風呂から岩場を超え、浜辺へと通じるカメラの移動とオーヴァーラップに、そのもっとも美しい実現を見ることができる。

(四方田犬彦 『日本映画史100年』 集英社新書 P24)
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by JustAChild | 2010-07-18 02:52 | Wards

ショットにおける日本画の全体的画面構成

絵画に関するかぎり、日本の映画監督は充分にその影響について意識的であり、方法論的自覚を備えていたようである。たとえば溝口健二は『元禄忠臣蔵』を撮るにあたって、西洋絵画がクローズアップによる一点の凝視と焦点化に重きを置いているのに対して、日本絵画は「全体的画面構成」によるロングショットを基調とし、同じ画面のなかに複数の中心を持ち込んでいると論じた。彼は日本映画は「静かに平凡な日本画の前に立って学ばねばならぬ」と説いた。彼は住吉具慶の『洛中洛外図』に理想の構図を見出し、遠くから事物を俯瞰で見つめることを好んだ。また安藤広重の各所図絵の空間構成に深い関心を抱き、流動的にしてゆるやかな時間の推移と、それにともなう空間の連続的な変化を文体に取り入れた。『雨月物語』における露天風呂から岩場を超え、浜辺へと通じるカメラの移動とオーヴァーラップに、そのもっとも美しい実現を見ることができる。

(四方田犬彦 『日本映画史100年』 集英社新書 P24)
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