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ネストール・アルメンドロス  自分はデイヴィッド・ホックニーに興味をひかれるようになっていった

――『クレイマー、クレイマー』についてですが、美学上あるいは撮影上のあなたのアプローチをお聞かせください。

アルメンドロス これは現代を描いた映画ですよね。舞台はアッパー・イーストサイドのアパート。中流の上の階級です。ニューヨークを眺望する高層ビル内のシーンもあるし、レストランや裁判所にもロケーションしている。どこにでもあるものを扱っているわけで、きわめてありきたりなわけです。そういった意味では、『家庭』とか『愛の昼下がり』に外見上は近い。どちらも私の手がけた現代ものです。『恋愛日記』にも少し似ていますかね。
 普通、現代の題材で映画を作る時は、視覚的な側面にはあまりこだわらずにやるべきだと考えられている。ですから、たいてい他の映画よりも雑に、てっとり早く作られてしまう。セット・デザイナーも衣装係もいなくて、そこにあるものをただ撮るだけという具合にね。しかし、この映画では幸いなことに時間的な余裕があったし、リサーチも行えた。ロバート・ベントンはピエロ・デラ・フランチェスカを念頭に置こうと言った。驚かされましたよ。現代ものを撮ろうとしている時にですからね。ともかく、デラ・フランチェスカが、この映画を作るにあたって私たちが研究した画家でした。たくさんのフレスコや画集に目を通しました。
 撮影が進むにつれて、映画の中の被写体がピエロ・デラ・フランチェスカとは何のかかわりもないと思えてきた。デラ・フランチェスカの色彩を壁とか衣服とかに用いようとしていたのですが……。ところが、徐々に、製作の途中から、自分はデイヴィッド・ホックニーに興味をひかれるようになっていった。そしたらつい先日、デイヴィッド・ホックニーがピエロ・デラ・フランチェスカの後継者を自任していたということを知りました。うれしかったですね。結局、全然的外れということはなかったわけです。最近デイヴィッド・ホックニーを調べています。椅子とかサボテンの鉢とかランプのかさとか窓とかいった現代の事物を使っている。『クレイマー、クレイマー』に出てくるものに似ているのばかりです。今では自分のインスピレーションの源泉なんです。


(デニス・シェファー、ラリー・サルヴァート 『マスターズ・オブ・ライト アメリカン・シネマの撮影監督たち』  訳:高間賢治 他 フィルムアート社 P39)
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by JustAChild | 2010-09-02 02:47 | Wards

ネストール・アルメンドロス  自分はデイヴィッド・ホックニーに興味をひかれるようになっていった

――『クレイマー、クレイマー』についてですが、美学上あるいは撮影上のあなたのアプローチをお聞かせください。

アルメンドロス これは現代を描いた映画ですよね。舞台はアッパー・イーストサイドのアパート。中流の上の階級です。ニューヨークを眺望する高層ビル内のシーンもあるし、レストランや裁判所にもロケーションしている。どこにでもあるものを扱っているわけで、きわめてありきたりなわけです。そういった意味では、『家庭』とか『愛の昼下がり』に外見上は近い。どちらも私の手がけた現代ものです。『恋愛日記』にも少し似ていますかね。
 普通、現代の題材で映画を作る時は、視覚的な側面にはあまりこだわらずにやるべきだと考えられている。ですから、たいてい他の映画よりも雑に、てっとり早く作られてしまう。セット・デザイナーも衣装係もいなくて、そこにあるものをただ撮るだけという具合にね。しかし、この映画では幸いなことに時間的な余裕があったし、リサーチも行えた。ロバート・ベントンはピエロ・デラ・フランチェスカを念頭に置こうと言った。驚かされましたよ。現代ものを撮ろうとしている時にですからね。ともかく、デラ・フランチェスカが、この映画を作るにあたって私たちが研究した画家でした。たくさんのフレスコや画集に目を通しました。
 撮影が進むにつれて、映画の中の被写体がピエロ・デラ・フランチェスカとは何のかかわりもないと思えてきた。デラ・フランチェスカの色彩を壁とか衣服とかに用いようとしていたのですが……。ところが、徐々に、製作の途中から、自分はデイヴィッド・ホックニーに興味をひかれるようになっていった。そしたらつい先日、デイヴィッド・ホックニーがピエロ・デラ・フランチェスカの後継者を自任していたということを知りました。うれしかったですね。結局、全然的外れということはなかったわけです。最近デイヴィッド・ホックニーを調べています。椅子とかサボテンの鉢とかランプのかさとか窓とかいった現代の事物を使っている。『クレイマー、クレイマー』に出てくるものに似ているのばかりです。今では自分のインスピレーションの源泉なんです。


(デニス・シェファー、ラリー・サルヴァート 『マスターズ・オブ・ライト アメリカン・シネマの撮影監督たち』  訳:高間賢治 他 フィルムアート社 P39)
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